「お借りします」

夕飯を
大学の後輩の子と食べた。


店を出て
コーヒーを飲もうと
駅のほうへ喫茶店を探して
歩く。


路地に入り
人気が少なくなった
その時、


後輩が
「ええ!!?」
と叫んだ。


「何!?」
思わず大きな声で聞き返す。


そこには一人のおじさんが立っていた。
白髪にベージュのスーツ。
後輩の部長さんだと言う。


「なんでこんなとこにいるんすか」
「いや、接待で」
「え、あ、部長さん!?」
「こちら、大学の先輩です」
「ああ、どうも、お世話になってます」
「いえ、こちらこそお世話になってます」
「お世話になってます」
「なんだかすみません」


お互い突然のできごとに、
あたふたてんやわんやしながら
ぺこぺこ頭を下げる。


私は心の中で
「「お世話になってます」とか言う立場で、
 私は果たしてあっているのか?」
とか思う。


なんだかもう
本当によく分からなくなってきて、


「じゃあ、また」
と心なしか足早に去っていく部長さんに


「すみません、お借りします」
と更にわけの分からないフレーズを乗せる。









「お借りします」って。。。
何はじめる気だよ。。。。