大往生

祖父が大往生した。


通夜と葬式に
出席するために、
愛媛へ帰った。


喪主の叔父から、
スナップ写真係に任命された。


ストーリーを描くようにとるのよと、
母からアドバイスがあった。


それこそ、
通夜と葬式の様子を、
玄関に貼った張り紙から、
火葬場、骨壷に骨を入れる瞬間まで、


叔父の一眼レフで、
撮りまくった。


祖父が、
人間から仏様へ、


ふと人間に戻ったり、
やっぱり仏様になったり、
行ったり来たりする姿を、
写真におさめた。


祖母が、
「ようけ写真撮って、お疲れさん」
と言ってくれた。




初の孫娘だった為
お前は溺愛されていたと、
周りは言うが、


当人には、
正直よくわからない。


普通にやさしい祖父だった。


祖父の孫娘に生まれて、
よかったと思うほどに。