アオマツムシ。

千駄木を歩いて、
アオマツムシの声を聞こう、
というイベントに参加した。


その名も、
「むしむし探し隊」である。


根津神社や須藤公園の木々を回り、
千駄木小学校をゴールに
ひたすら耳をすませながら歩く。


普段、
「これはアオマツムシの声だ!」
と意識しながら聞いたりしないので、
わくわくしながら
薄暗くなってきた夕刻、
根津神社に集合したら


幼稚園生や小学生が40人ほど
親御さんたちと集まっていた。


暗くなった町へと
列をなして出発する彼らの、
一番後ろを歩きながら、
子どもたちが
車道へ飛び出したり、
別の道へ行こうとしたり、
置いて行かれないように気をつける
役目も担った。


とは言うものの、
私自身が、
車道へ飛び出したり、 
別の道へ行こうとしたり、
置いて行かれたりするタイプなので、


一緒に置いて行かれたり、
一緒に別の道へ行ったりしながら、
アウトサイダーな子を、
守った(つもり)。


何より
子どもたちの好奇心の強さに
圧倒された。


懐中電灯を持って駆け回り、
土や葉や池を凝視し、
人んちをのぞき、
耳をすます、
その集中力。


憧れるなー。
見習わねばなー。




耳を澄ませると、
「リーリーリー」と
ビブラードを効かせて鳴く、
アオマツムシの声が聞こえてきた。


意識が洗われるような、
凛と、響く声だった。


どんなに住みにくい場所でも、
こんな魅力的な声をだすのだ、
アオマツムシは。


虫のフリ見て、我がフリ直せ。


プロジェクトメンバーの人たちの
打ち上げにも参加させてもらった。
私の知らないところで、
面白い、新しい仕事が動いていることを知り、
とても有意義だった。


帰りは、
同じくアオマツムシイベントに参加した
会社の後輩の子と、
歩いて帰った。


真夜中に歩くのは楽しい。


夜特有の
ハイテンションな瞬間と、
静けさと暗闇に
ほんの少し畏敬を感じる瞬間が、
交互にやってくる。


アオマツムシを探して
夕刻過ぎの町を歩いた子どもたちも、


こんな気分だったんだろうか。