ひとり動物園

相方さんが
免許の更新に行くというので
その間、
ひとりで近くの動物園に行ってみた。


その日は、
雪の予報がでている程の寒さで、
雨もちらほら降ったり止んだりの
天気だった。


動物園に人は少なく、
家族連れが
10組いるかいないかくらい。


私はひとりで園内を回った。


二匹のオラウータン
上からつりさげられたゆりかごの中で
くるまっている。


「動物も寒いよなー」
と思っていたら、
いきなり飛び出してきて
ゲージを掴み、
つばを吐きかけてきた。


「うおっ!」


反射で後ろへ飛びながら、
傘でガードした。
よけられたが、悲しかった。
少し、ひとりで来たことを後悔した。


「ちきしょー、ばか!」
と罵倒しながら
オラウータンを後にする。


次に来ていたカップルも
つばを吐きかけられていた。
でもちょっと楽しそうだった。


二人なら
つばもアトラクションになるようだった。


鼻を揺らすゾウに
「ほらーゆうくん、こんにちはーって言ってるよー」
と、でたらめにゾウ語を翻訳する
父と母の姿を見た。


どうして親は
子どもに軽々しく嘘をつくんだろうと
思った。


カメのセックスを初めて見た。


相方さんの講習も
そろそろ終わる時間になったので、
動物園を後にする。


なかなか楽しかった。


相方さんの免許の写真は
ちゃんとしていた。