中里浩子うつわ展。

に行ってきた、
松屋銀座


以前、
花器を買ったことがあって
わざわざハガキでこの展示会を
知らせてくださった。


どれも本当に美しくて上品で、
だからといって、
つんとしてたり、
気取ってなくて
素朴な土の感じが本当にすてきだ。


一つ、
気になったカップがあって、
マットな深い青が
海みたいな夜空みたいな
(って、実際の海とか空は
 そんな色してないのに、
 どうして人間は大人になっても、
 ファンタジーの世界を
 引きずって生きるんだろう)
が気に入って、
うだうだ悩んでいたんだけど、
最近お金を使いすぎてたから、
その1万円を我慢した。


先生と、
ちょろちょろお話して、
店を出た。


帰り道。


三越の入り口で。
少年が父親にだだをこねているのを見た。


「タクシーで帰ろう
 タクシーで帰ろう
 すごい雨降ってるよ
 タクシーで帰ろう」


雨は、小雨とは言わないが、
大降りでもどしゃぶりでもなかった、
むしろ弱まってきたねという風の
雨だった。


「鎌倉までタクシーはムリだぞー」


困った声で返す父親。


少年よ、
殴らないから、
あたしに器を買ってくれよ。