お名刺ください。

新たに担当させてもらう
お仕事のお店を
帰りに見ていこうと思って


いつもは立ち寄らない
オフィス街である
大手町に降り立った。


会社帰りの
サラリーマンやOLさんを
待ち構える
スーツの青年がいる。


「お名刺ください!
 お名刺ください!」


ハッ!
これが噂に聞く
新入社員ノルマ研修というやつか。


どこぞの会社では
新入社員に名刺100枚もらってくるよう指示し、
もらえるまで帰ってくるなという
過酷な営業研修があると聞いたが、
本当に、
まだ、
あるんだ。。。


会社帰りのサラリーマンたちは
迷惑そうな顔をして
彼らの脇を通り過ぎていく。


きっとこの
迷惑そうな顔をされても
めげない根性を育てるための
訓練なんだろうと思う。


確かに。
これを達成した人と
やってない人では
根性が違うと思う。


でもやっぱりなんだか。


自分のところの社員を育てるために
道行く人を
一瞬にでも不快にさせる、
怪訝な気持ちにさせる権利が
その会社のどこにあるというのだろう。


またその名刺は
「集める」という目的以外に
利用されるのだろうか。
利用されるのも嫌だし、
「集めてるだけです」ってのも
なんか存外に扱われているようで
嫌だ。


やっぱり不快な気分になる。


そんなことを
「自社の社員教育の為」
という利己的な理由で
遂行し続ける会社って、


疑問だ。