彼は地蔵のようである。

新入社員の子達と
編集スタジオへ向かう
駅構内でのこと。


志茂田景樹とすれ違った。

三重人格のボク

三重人格のボク


彼は
水色の短パンにタイツ
水色のヒラヒラのTシャツだったか
タンクトップだかを着ていた。
頭にバンダナみたいのを
巻いていたような気もする。


とにかく一瞬のことだったので
うろ覚えであるが、
一般的なおじいちゃんの格好でなかったことは
確かだ。
おじいちゃんたちの同窓会で
多数派をしめるファッションには
絶対なりえない。


一番印象的だったことは、
そんな彼とすれ違った際、
新入社員の女の子が
つい彼に会釈をしてしまったことだ。


「ええっ!なぜ!」


聞いてみると、
いや、つい、なんとなくしてしまったんです。
という答えが返ってきた。


志茂田景樹には
人を会釈させる力がある。


それは、
地蔵を見るとつい手を合わせてしまう
日本人の心理とにているのかもしれない。


志茂田景樹は、
論理や学や理屈ぬきに、
神に近い存在なのかもしれない。