なんかすんげえ怖くなった。

人体の不思議展
行ってみたことについて。


中国死刑囚の方々の
本物の人体が、
筋肉や神経や眼球をむき出しにして
いろいろなポーズで
展示されていた。


眼球が残っていると
それは
どんな姿をしていても
やっぱりに人間に思えた。


「見てんじゃねえよ」って
言われているような気分になった。


だけど一番怖かったのは、
展示されている人体よりも
展示されている人体を観察している
お客さんたちの方だった。


本物の人体を
人間を
人間だったものとして
展示品として
素直な探究心にそって
興味深く観察してる態度が
すんげえ怖かった。


よく少年が殺人事件を起こした時に
「人を殺してみたかった」
と供述すると、
コメンテーターの人とかが、
「信じられません
 分かりません
 一体どういう感覚なんでしょう」
と悲壮な顔をするが、


分かりませんというのは
嘘だと思った。


人体の不思議展のお客さんたちは
人間の、自分も持っている身体について
客観的に、純粋な探究心から
それらを見てた。


その延長線上に
(何回か、ひねっているとは思うけれど)
少年の「殺してみたかった」衝動が
あるような気がした。


人間が、
人間の身体や命に
客観的に興味を持つという行為、
その残忍さは、
誰しもがもってるものなんじゃねえかって


人間は誰しも、
人間を、
感情の無い物体としてみることができるって


それを、
不思議展でみた気がした。


なんかすんげえ怖くなって
一緒にいった人の袖を
なかなか離せなかった。