ソフトバンクと鍋

相方さんが
あたしの知らぬうちに
あたしの買ってきた小説を
あたしより先に読んでいた。


これを責めるのは
心が狭い。


わかってる。


だけど。
無理をしてまで
出かけた言葉を飲み込むより


言ってやってしまえ。


だからこそあたしは
相方さんの隣を
居心地よく思えるのだ。


「ちきしょー、てめえ覚えてろ」


さて。
としともこちゃんと相方さんと
キムチ鍋をする。
野菜を多めに摂取する。


テレビは
ソフトバンク対ロッテの
プレーオフ
としが観戦しながら
突如大声を発する。


「ストライク!」
「なんでや!?」


その度に
きのこを洗うあたしの心臓が跳ねる。
野球見てはしゃぐ人は
この部屋にはいないですからさぁ。。。


ソフトバンクが勝ち
としのケータイに
親御さんから電話がかかってきた模様。


「うん、勝ったよ」
「うん、がんばろう」


あんたが何をがんばるん?


野球ファンは
あたしの知らない奥深い世界を
きっと大事に大事に持っているんだろう。
それはきっと、
地元愛の温床に
なっているんだろう。


彼を見て
ふと思う。


でもそーゆーのを
ちょっと羨ましくも思う。


ご飯を入れて
卵をおとして
雑炊でしめる。


旅行の計画をたてながら
更けゆく、夜。