引越しの夜

会社の時計

会社が移転する。


その引越しのため、
強制的に18時で業務停止。
引越し屋さんが入ってくる前に、
すべての荷物を
ダンボールに詰めて


でろー退散ー


だった。


人も荷物も片付けられた会社は
ただの箱で、
会社って、
人でできているんだなーと思った。


新しい箱は、
会社にやさしいだろうか。


その夜は、
小学校の時の
いちばんの友達と飲んだ。


仕事の内容も何も
全然違うのだけれど、
悩んでることとか
腹が立ってることとか
厭なこととか
いつも共通、共感できて、


たぶん、
人となりが似ているんだろう。


負けず嫌いなところ
流せないところ
執着心の強さ
長女であること


一方が一方を
思いやりながらの会話、
というよりは、


お互い愚痴を
こぼしながら聞きながら
「分かるー」
と自分自身に重ねて
発散していく感じだ。


彼女は
家具屋で働いていて
インテリアのプランナーでもある。


会社から提案される
大きな家具を見て、


「売りたいのはわかるんだけど、
 お客さんは狭い家をなんとか心地よくしたいって、
 相談しにくるのに
 今の住宅事情とあってないから。
 分かってない!」


と憤慨していた。


明日しごとの彼女と別れて
終電に乗る。


人の居場所をつくるのも、
人にものを売るのも、人人人。


人のことを
どれだけ真剣に考えたかが
結果となってあらわれる。


世の中の出来事って
ぜんぶそうかもなって
思った。


仕事も恋愛も、
引っ越しも。