夜の善光寺は、

音がきれいだ。


春めいた風が
少し強く吹く夜11時半だった。


善光寺に吊り下げられた
大きな提灯が揺れて
軋む音


彩られた布が
パタンパタンと
はためく音


たくさんの重なり合った絵馬が
揺れて、ぶつかって
カラカラと鳴り続ける
小気味良い音


お参りをすると
お賽銭の落ちていく音が
響き渡る。


月のはっきりとした藍。
どこか夏のにおいすらする
湿気の多きこと、


明日は雨だろう。


この、
何かに通じていそうな
上質な雰囲気に気圧されて、


あたしは最高の浄化を受けてきた。